みなさんこんにちは!岡山・倉敷の住宅購入アドバイザーをしているカスケ不動産の辻です。
お家を建てる為にこれから土地の購入を考えられている方や今建っているお家の建替えを考えられている方、色々と考えられていると思いますが、その中で落とし穴になりやすいものが道路と建物の関係です。
前回では建築基準法で定められている『接道義務』という内容でご説明させて頂きました。
今回は『高低差』です。
近年さまざまなエリアで豪雨や台風などによる災害が頻発している事から令和2年8月より不動産取引時にハザードマップの説明が義務付けられました。そういった状況下で不動産購入を検討されている方からもハザードマップにかからないエリアでの物件を探したいというお声を聞く事が多くなったと感じます。
※ハザード情報についてはこちらの記事をご覧ください。
では、ハザードマップにかからないエリアで思いつくのは『小高い丘の上の住宅団地』や『平地ではあるが他よりも高くなっている敷地』などではないでしょうか?
このような敷地で確認をしておかなければいけない事が『道路と敷地の高低差』です。この高低差による条件をしっかりと把握しておかなければ、住宅建築の際に思わぬコストに繋がったり、理想のプランが叶わなかったりと想像もしていなかったハードルに引っかかったりしますので今回は代表的なもの3つをご説明させて頂きます。
崖条例
崖条例を分かりやすく説明すると、『崖が崩れるかもしれないので安全の為に崖から離れて家を建てましょうね』というものです。
条例ですので、地域によって若干の違いはありますがここでは代表的なものをお伝えします。
建築物等の制限に関する条例第3条では、
居室を有する建築物を建築する場合は原則として、当該建築物を、2メートルを超える高さのがけ(地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす土地をいう)の上に建築しようとするときにあっては崖の下端、5メートル以上の高さの崖の下に建築するときにあっては崖の上端から、当該建築物との間にそれぞれ当該崖の高さの2倍以上の水平距離を保たなけれなりません。 |
というような決まりがあります。こちらの内容を図に表すと以下のようになります。
[引用:岡山県建築指導課|がけ条例についてPDF|https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/785840_7319634_misc.pdf]
上記の(がけの影響範囲)には住宅の建築をすることはできません。この内容をしっかりと把握をしておくことで、たとえ100坪の土地を購入しても実際に住宅の建築として使えるのはその半分しかなかった。というような事態が避けられるようになります。
宅地造成等規制法
宅地造成等規制法の概要として、宅地や宅地以外の土地を宅地として造成する際に崖崩れや土砂の流出が生じやすい区域を規制区域と定め許可制や届出制にすることで住環境の安全を確保していこうというものです。
では規制区域内でどのような造成工事を行う場合に許可が必要なのかを見ていきましょう。
・切土:2メートルを超える崖を生じる切土
・盛土:1メートルを超える崖を生じる盛土
・切土と盛土:1メートル以下の盛土であっても切土と合わせて高さが2メートルを超える崖を生じる場合
・上記以外で切土または盛土の面積が500㎡を超える場合
[引用:盛岡市HP|宅地造成に関する工事の許可|https://www.city.morioka.iwate.jp/shisei/toshiseibi/takuzou/1010205.html]
要件としては以上の4つとなります。
上記の許可ですが、あくまでも宅地としての使用を目的としていますので、宅地以外の土地を宅地以外の土地として使用する場合や、宅地を宅地以外の土地として使用する場合などは許可は不要となります。また、一度許可を取得してしまえば、その後【新たな開発行為がなければ再度許可を取り直す必要は無い】というのもポイントです。
土留め擁壁の構造(コンクリートブロック)
道路と敷地に高低差があるような団地ではよく土留め擁壁にコンクリートブロック土留めが使用されているのを目にします。
[引用:九州防災メンテナンス株式会社HP|傾いた空洞ブロックの土留め壁|https://www.bousai.co/post/%E5%82%BE%E3%81%84%E3%81%9F%E7%A9%BA%E6%B4%9E%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E5%9C%9F%E7%95%99%E3%82%81%E5%A3%81]
まず『土留め』とは・・・ですが、道路と敷地に高低差が有る場合に、盛った土が流れていかないように土を留める役割をする構造物を言います。土地上に施行されている物は『塀』といいます。
[引用:coniwa|【外構用語解説】土留め|https://coniwa.net/2019/03/15/rc-block/]
建築基準法、宅地造成等規制法では、擁壁の材料は「鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石連積み造等」と定義されています。コンクリートブロックの製造メーカー側としては安全性を考慮した上で、土留め工事をする際、その高さが40㎝以上となる場合はコンクリートブロックは推奨しないとの内容があります。
[引用:蛇の目ブロック|コンクリートブロック塀の設計規準|https://www.janome-block.co.jp/technical/design_criteria.php]
ではなぜ高低差の大きい土留め工事にコンクリートブロックが使用されているのか?そのポイントは【宅地造成等規制法にかかっていないエリアで、2メートル以下の土留め工事は建築確認申請の義務がないので、安全性が担保されているかの審査や確認が不要になる】という事が上げられます。その為に、RC擁壁や間知ブロック積よりもコストの低いコンクリートブロックで施行されているのです。
ただ、その高さが2メートルを超えていたり、宅地造成等規制区域内で1メートルを超えていたりすると、確認申請が必要な建築物の建築をする際には審査が必要となってきます。その為に擁壁の作り直しが必要となり思わぬコストに繋がるケースもあります。
相場よりも安い土地や中古物件だからといってもこういった物件の場合は思わぬ落とし穴があったりしますので、その点は担当の不動産会社さんにしっかりと確認をされる事をお勧めします。
以上『道路と敷地の高低差』について代表的なものをご説明させて頂きました。これらの内容は新築住宅を建築する為の土地の購入だけでなく、中古住宅の購入にも将来的に影響を及ぼす可能性があります。また、様々な判断をする時にしっかりとした知識や経験が必要な場合もありますので、信頼のおける不動産担当者に相談や確認をされる事をお勧めします。
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